様々な規定のある霊園使用ブログ:22年11月25日
おれは物心ついた頃から、お母さんとだけは
学校のこと、好きな人のこと、将来のこと…なんでも話してきたし、
その関係は今でも変わらない。
しかし、親父との関係は全く違う。
おれの親父は非常に寡黙で、それでいてとてもシャイ。
おれが小学生の頃ですら、
親父とはほとんどくちをきいた記憶がないし、
怒られたり褒められたりした記憶もない。
幼い頃は、
おれに対する親父の無関心な態度を当然のように感じていたが、
おれも思春期を迎える頃には
そのような親父の姿勢に疑問を感じるようになった。
そこで、お母さんに
「なぜお父さんと結婚したの?」と尋ねたことがある。
するとお母さんは、
「結婚したときはもっとおしゃべりだったんだよ!」と、
諦めの気持ちが半分見え隠れするような笑顔でそう答えた。
親父は、おれのことが好きではないのだろうか…
学生時代、おれは渋谷で一人暮らし。
大学一年の夏休みに帰省した時…
久しぶりに実家のドアを開けて驚いたことがある。
あの親父が、満面の笑みで「おかえり」と声をかけてきたのだ。
これは事件だった。
おれはなんだかむず痒い気持ちになって、
少々ポカンとしていた。
親父がその場を去ったあと、
お母さんが「お父さんの書斎を見てごらんよ」と
にやにやしながら声をかけてきた。
親父の書斎をこっそりのぞくと、
おれが通う大学から送られてきたであろう大学情報誌や学部報が
机の上に積まれていた。
その光景を見て、
おれはなんだか心が締め付けられるような思いがした。
久しぶりに実家に帰ってきた
女の子の姿を見て満足そうに微笑む親父の姿を見て、
おれからも父に歩み寄ってみようという気になった。