価格や環境と設備などを事前確認ブログ:19年06月07日
1週間位前、二ヶ月振りに母が帰ってきた。
「お父さんの還暦祝いをするんだけど、来てくれる?」
お父さんの勤務地が変わって、
母はお父さんと千葉へ行ってしまった。
そして、母はときどき一人で千葉に帰ってくるのだ。
母が戻る日…
僕は仕事で休めなそうにないから無理だと言うと、
母は寂しそうな顔で家を出ていった。
僕は家で一人ぼっちになると、
母には悪いことをしたなぁ…と後悔した。
沈んだ気分を吹き飛ばしたくて
僕はテレビをつけた。
司会者とゲストが楽しそうにおしゃべりしている。
その遣り取りで、
僕はゲストが司会者から電報を受け取っているのが気になった。
「そういえば、電報という手があるな!」
お父さんの還暦祝いに、
僕は真っ赤な鳳凰が羽ばたいているデザインのカードを選んで、
メッセージを添えて贈ることにした。
お父さんの還暦祝いが行われた翌日、
母から電話がかかってきた。
母の声はいつもより弾んでいた。
「ありがとう。電報届いたよ。
感情をあまり出さないお父さんの久しぶりの笑顔が見れたわ」
「お父さん、喜んでくれたんやな」
「当り前よ。お父さんね、メッセージを読んでからしばらくの間、
鳳凰にみとれていたわ」
おしゃべり好きの母の話はいつものように脱線し、
なかなか話が尽きなかったが、
ようやく電話を切ることができた。
母の声が聞こえなくなると、
今度はお父さんの姿が浮かんだ。
今頃
座敷に胡坐をかいて愉快な顔で
お父さんはビールを飲んでいるのかなぁ…
その横で、あの真っ赤な鳳凰は羽を休めていることだろう…